苦しい展開でも勝ち切る。強さは本物。|近江vs立命館守山2024インターハイ予選決勝マッチレポート

2024年6月8日、インターハイ予選決勝が布引総合運動公園で行われた。

連覇を目指す近江高校と、創部初の決勝戦に進み初の全国大会出場を狙う立命館守山高校の一戦。高校生年代における県内最高峰の一戦をマッチレポートとしてお伝えする。

目次

ここまでの勝ち上がり

両校の勝ち上がりは次の通り。ともにシード校でここまで3試合を戦い、近江は3試合で14得点という得点力が目立つ一方、立命館守山は接戦をものにしてきた粘り強さ、勝負強さが目立つ。

準決勝2-1綾羽高校
準々決勝4-0守山高校
3回戦(初戦)8-0彦根総合高校
近江高校の勝ち上がり
準決勝1-0八幡商業高校
準々決勝1-0比叡山高校
3回戦(初戦)1(6)-(5)1伊吹高校
立命館守山高校の勝ち上がり

 

スターティングイレブン

両校のスタート時のフォーメーション。近江は定番の3-4-2-1。一方の立命館守山、こちらもこれまでと同じく4-4-2。

スタートのメンバーは立命館守山は固定されている一方、近江は準決勝1トップを務めた吉川に替えてエース山本を最前線に。代わりに右サイドに昨年の選手権を経験している14番市場を配置した。

立命館守山の近江対策がハマる

風上に立った近江ボールでキックオフしたこのゲーム。技術の高い選手が揃う近江がボールを握り、立命館守山が粘り強く守るという予想に反して、立命館守山の前への意識は高かった。

立命館守山の両センターハーフの守備は明らかに近江を対策で、7番脇(colors shiga)がアンカーの位置で、10番山本をマンマーク。また、6番山岡(クレアーレ甲賀)が前目にポジションをとり、近江の心臓である8番伊豆蔵と6番廣瀬の二枚を10番氷見とともにみる。

そして攻撃時では7番脇とCBの2枚でビルドアップを行い両SBが高い位置を取る。SBと中に絞ったSHそしてトップの3枚でサイドを攻め立てる。

一方の近江は、相変わらずの高い技術で、狭いスペースを攻略しようと仕掛ける。また、守備時は素早いプレスやプレスバックで相手を自由にさせない。

しかし、この試合は高本、伊豆蔵、廣瀬、山本のセンターラインに立命館守山のプレスが襲い、中央を使った厚みのある攻撃が見られない。

序盤は立命館守山のペース。一瞬の隙をつき流れを断ち切ったのはやはりエース。

試合初めてのシュートチャンスは立命館守山に。10番氷見のCKのこぼれ球を、4番平尾が遠目から狙うもこれは僅かにバーの上に。

序盤から立命館守山のプレスが効き、ゴール前まで持ち込む時間が続く中、前半10分に試合が動く。

カウンターから近江10番山本が右サイドに開いて受ける。山本は自身が空けたスペースに走り込んだ9番松山にすかさずスルーパスを通す。

これをボックス内で受けた松山はGKとの1対1を冷静に沈めた。

如何せん立ち上がりが良く立命館守山の意識が前を向いていた中で、近江が一瞬の隙をついて先制に成功した。

先制後は両チームともゴール前まで持ち込む惜しいシーンが生まれる。

近江は両サイド、特に右サイドからクロスやロングスローで攻め込まられるも、守護神GK山崎や5番高本を中心にDF陣がしっかりと対応。上背はないもののしっかりと空中戦で対応できるあたりがレベルの高さを感じる。

その後は得点が生まれず1-0で試合を折り返す。

後半も一進一退の攻防が繰り広げられる。

後半、両チームともメンバーは変わらずスタート。

ピッチ上では前半からの同様、球際の激しい攻防が繰り広げられ、激しい接触が増え試合の針が止まる場面が出てくる。

後半序盤は同点を狙う立命館守山高校がペースを掴み、近江ゴールに迫る。

すると後半8分この試合最初のカードを切ったのは近江高校。カウンターの起点を増やすため、14番市場に替えて11番吉川(MIOびわこ滋賀)を投入した。

しかし立命館守山の流れは途切れない。10番氷見がボールを呼び込み起点となり、14番李川は果敢に仕掛けて勢いをもたらす。

そして後半10分、後半最大の決定機が訪れる。

左CKのこぼれ球を8番宮田がボックス手前から左足を強振。シュートはバーを直撃し、同点弾ならず。

すると後半20分、近江にアクシデント。攻撃のキーマンであるテクニシャン伊豆蔵が負傷し、15番天雷(FC湖東)と交代。足を引きづりながらピッチを去る伊豆蔵に、前田監督が熱い励ましの言葉をかける。

後半はシュート数が双方ともチャンスシーンが少ない堅い展開になっていたところ、立命館守山の吉田監督から「打てる時に打て、迷うな!」と残り時間を意識した檄がピッチに飛ぶ。

すると後半30分、ボックス手前の位置で立命館守山がFKを得る。これを9番志水が狙うもシュートはバー上に。

しかし、虎視眈々と追加点を狙う近江が終了間際にチャンスを作る。こぼれ球に反応した10番山本がフリーでシュートを放つ。しかし立命館守山のDF陣も懸命にブロックし追加点を許さなかった。

手に汗握る展開の試合は、近江高校がリードを守り2年連続3回目の優勝を決めた。

 昨年度の全国準Vのプレッシャーもあり追われる立場として難しい予選であったことは間違いない。準決勝と決勝は苦しい展開が続いたものの勝ち切る姿に強さを感じた。
 昨年見せた厚みのある攻撃や推進力は見られなかったものの、ハードワークやボールに対する執着心といった近江らしさは今年も健在。その上に今年のチームの特徴である個々の足元の技術の高さが随所に見られた。福島の地で湖国の海賊の躍進を期待したい。
 優勝(2連覇)おめでとうございます!

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